ほんとはどうなの?睡眠についての気になるアレコレ
睡眠は人間の生活にとってとても大切なもので、睡眠は生活習慣病をはじめ、うつや不安など、
様々な疾患のリスク要因や維持要因になっています。日本の睡眠の問題によって生じる経済損失は
年間15兆円とも言われていますし、実際に私たちはいつも眠れる飲料や豆知識を求めています。
そんな私たちの関心事「睡眠」についての気になるあれこれを、今日はいくつかご紹介していきましょう。
「8時間は寝ないとだめなの?」
「8時間神話」などと言われていますが、実際には8時間寝ないとダメということはなく、
人によって最適な睡眠時間は違い、成人では6~8時間が良いとは言われています。年代によっても異なり、
子どもはもっと長い時間が望ましく、高齢になると床上時間の長さがむしろ問題になります。
また、なかなか寝付けないと翌日のパフォーマンスが不安になってきてしまうものですが、
毎日の睡眠時間と日中の不適応感は、想像しているほど強く関係していないと感じる人も多いです。
「お休みの日に寝だめしたら1週間乗り切れる?」
休日の「寝だめ」は健康リスクにつながりやすいと言われています。休日にいつもより大幅に
起床が遅くなると、体内時計が40分後退すると言われています。ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ボケ)
と言われる状態です。休日に寝だめして、月曜日の朝がいつもだるいと言う場合、
仕事が嫌でだるいんだと言うよりも(それもあるかもしれませんが…)、ソーシャル・ジェットラグかもしれません。
ただし、平日いつも睡眠が足りていない場合には、休日に長く寝た方が死亡リスクは悪化しないという研究もあります。
平日寝る時間が作れないのなら、休日は多少は寝坊してもいいので、午前中にはひとまず起きて、
しっかり朝日を浴びるようにしましょう。
「眠れなくても布団に横になっていた方が良いの?」
布団の中で寝つけずかえって気が焦ってしまったり、寝付けないために布団の中でスマホを見るなど
活動をしてしまうことがあります。不眠傾向の場合は特に、「布団は眠くなった時にだけ行く場所」と
体に覚え直させることが大切です。そのため、30分寝付けなかったら布団を出て、明るすぎない部屋で
読書(スマホではなく)をしたり呼吸法をしたりしてみましょう。自然に眠気が出てきたら布団に戻る方が、
布団の中でモヤモヤとしているよりもずっと睡眠の近道です。
「睡眠時間は足りてるはずなのによく眠れた感じがしないけど?」
睡眠時間が足りているのによく眠れた感じがしなくてなんかだるい、という場合、
日中と夜間の覚醒(しゃきっとする時間)のメリハリがしっかりついていないことが
原因の場合があります。その場合、日中は脳をしっかり覚醒させることが大切です。
朝起きたら30分ほど散歩をする、移動中はエスカレーターを使わない、バスや電車では座らない、
もっとアクティブなエクササイズを取り入れる、頭を使うパズルや脳トレをじっくりするなどをしてみましょう。
そのほか、よい睡眠につながること、いくつか試してみましょう
・寝る1時間前には、明るい場所、テレビやPC、スマホを見るのはやめましょう。
・朝は日の光を浴びることを意識して、日中は身体と脳をしっかり使いましょう。
・軽い読書、ストレッチ、呼吸法など、寝る前のルーティンをつくりましょう。
・寝る1~2時間前にお風呂に入りましょう。夜のお酒、たばこ、カフェインは控えましょう。
「それはわかっているけど、できないんだよな」というのもとてもよく分かります。けれど、
苦しいですけど試してみると、睡眠の質が次第に良くなっていくのが体験できると思います。
いつもこの時間には眠くて仕方がないのに、今日は眠気がないな…。と気が付けたら、
きっと気持ちも少し軽くなっていきます。
実感できるまではどうしても苦しいですが、思い切って試してみましょう。
Lear Moreアンガーマネジメントって結局どうやるの?RICPメソッドを試してみよう。
これまでもたびたび、“怒り”という感情が、いかに人間、生き物にとって大切で、
生きていくために必要かという話をしてきましたが、その一方で「アンガーマネジメント」という
言葉を度々聞くのはどうしてでしょうか?
当然ながら「アンガー(怒り)」を問題に感じる方がそれだけ多いからです。
皆さんも、日々生活をしている中で、怒りに触れて「いやだな」と感じることはたくさんあると思います。
お店の中で店員さんに怒っている人、満員電車の中でケンカが始まりそうな瞬間、もっと身近な人間関係でも、
身近だからこそ怒りに触れることはあるでしょう。そして何より、最も身近な「自分」の怒りについても、
「嫌だな、どうして怒ってしまうんだろう」とか、「こんな言い方したかったんじゃないのに…」と悩んだり、
後悔したりすることもあるのではないでしょうか。
「怒り」はこれまでも見てきた通り健全な感情ですが、「不快」な感情であることも事実です。
さらには「攻撃(暴力だけでなく暴言や、もっと間接的なものも含めて)の前兆(もしくはイコール)」と
思われているために、周りの人にとっても警戒したくなるものです。
確かに怒りは攻撃とつながりやすいものですが、本来は怒りと攻撃は別のものです。
怒っても攻撃しないことはできます。どんなに怒っていても、怒りはコントロール不可能なものではありません。
ただコントロールはできるはずだけれども、そのコントロールがとても難しいのが怒りの特徴です。
だからこそ「アンガーマネジメント」が大切だと言われるのでしょう。
6秒ルールなど様々な方法が知られていますが、結局のところは「ちょっと立ち止まる」ことが
できるようになるための方法です。
ここではRICPメソッドをご紹介します。
これは怒りを感じるのも当たり前という場面で、冷静になるためのイメージトレーニング法として、
さらには怒りの場面での実践法として活用できます。
Relaxation:リラクセーションを使ってリラックスしよう
ゆっくり深呼吸をしてみたり、あなたなりのリラックス法でまずは十分に気持ちを落ち着けましょう。
Imagery:イライラした場面をイメージしてみよう 落ち着いた気持で、最近のイライラした場面をイメージしなおしてみましょう。気持ちが落ち着いていると見えてくるもの、気が付くことがありますか?
Coping statement:コーピングの発話(適応的な考えを思いつこう)
イライラしたイメージの中で、落ち着きを維持するための考え方を見つけてみましょう。
Problem-solving response:問題解決のための方法を考えよう
落ち着いた状態で、どんなことが解決になるか、その場で怒りに任せて攻撃する以外の良い方法(相手のためにも、自分のためにも)を考えてみましょう。
ついつい疲れて帰宅した時に、期待していた家事ができていないパートナーについついイライラ
してしまうAさんは、休日、ソファに座ってまずは呼吸法で気持ちを落ち着けました。
昨日帰宅した時に、部屋が片付いていないのを見つけてカッとなってパートナーに怒鳴ってしまった
場面をイメージしました。気持ちが落ち着いているのもあって、昨日の様な気分にはなりません。
コーピングの発話を考えました。「毎日疲れて仕事をしてきているのを分かってくれていないと思ってしまったんだ。
片付けだって昨日は気にならなかったし、ましてや相手が自分を馬鹿にしてる証拠になんかならないよな。
何でも思い通りになるわけないよね。」
問題解決として、「気になるなら、落ち着いて自分でやればいい。声をかけて一緒にやってもいい。
放っておいても良い。本当に気になるなら、落ち着いて言えばいいんだ。
自分が疲れているのが問題なんだから、ひとまずお風呂にゆっくり入って疲れを取ろう。
仕事を少しセーブできないか、上司に相談してみよう」と、本来の問題に戻ってきて対処する
イメージまで思いつけました。
対応に困った怒りの場面を体験したら、上の流れで毎日毎日、何度も練習をしてみます。
そうして、もしまた似た場面に遭遇したら、落ち着いて実践するために、Relaxationから初めてみましょう。
引用/参考文献「怒りを適切にコントロールする認知行動療法ワークブック」ウィリアム・J・クナウス著
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