どこに相談すればいいんだろう?
以前のブログで、ソーシャルサポートについての記事がありました。
誰かに相談すること、カウンセリングもソーシャルサポートの一つになるかと思いますが、
さて、いざ相談してみようと思ったものの、カウンセリングルームは何となく敷居が高い…、
カウンセリングルームが沢山あってどこがいいのか分からない…、そもそもどこに相談したらいいのか…
と迷われたという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで今回は、身近にいる専門家の相談先について一例をご紹介したいと思います。どうぞご参考までに。
<小学生・中学生・高校生>
・スクールカウンセラーに相談する
小学校・中学校・高校には、スクールカウンセラーが配置されています。臨床心理士・公認心理師の専門の資格を持った
カウンセラーが配置されていることが多く、無料で相談できます。
・まもろうよこころ 厚生労働省のサイトで自分にあった相談方法で相談する
電話での相談、LINEやオンラインチャットなどでの相談窓口等の情報がまとめられています。
LINEなどでも気軽に相談できます。
・・・・・保護者の方・・・・・・
スクールカウンセラーや教育相談所に相談する
お子さんについてのご心配や対応について保護者からの相談にも応じています。また、児童生徒向けに
いじめやハラスメント、DVについてのSOS窓口を開設しているところ多いです。
神奈川県立総合教育相談センター
横浜市立教育相談センター
町田市教育相談
小田原
<大学生>
・学生相談室で相談する
大学には、学生相談室という無料で相談できる場所があります。多くの学生相談室では、臨床心理士・公認心理師の
専門の資格を持ったカウンセラーがお話を伺っています。相談の秘密は守られます。
・まもろうよこころ 厚生労働省のサイト で自分にあった相談方法で相談する
電話での相談、LINEやオンラインチャットなどでの相談窓口等の情報がまとめられています。
・・・・・保護者の方・・・・・
・学生相談室で相談する
お子さんの対応について保護者からの相談に応じている学生相談室もあります。保護者も相談の対象となっているか、
詳しくは各大学の学生相談室のホームページ等をご確認ください。
<企業や団体などにお勤めの方>
・社内の相談室のカウンセラーや産業医に相談する
社内にメンタルヘルス関連の相談窓口を設けている企業も多くなってきています。
・健康保険組合の福利厚生サービスを利用して相談する
お勤めの企業や団体が、メンタルヘルスに関する福利厚生サービスを提供している場合があります。
・『臨床心理士に出会うには』で相談先を探す
日本臨床心理士会が運営する検索サイトです。エリア、相談内容、臨床心理士の性別など条件を入れて検索することができます。
こまち臨床心理オフィスでは、遠方の方でもオンラインカウンセリングをご案内可能ですが、対面で受けてみたいという方は、
こちらでお住いの地域にある相談先を検索してみるのも良いでしょう。
*精神科・心療内科に通院中の方でカウンセリングを希望する場合は、まずは主治医にご相談ください。
困った時に、1人で抱えずに相談していけるのも大事な力です。
コンパッションはトーンに宿る
コンパッション(慈悲/思いやり)は、これまでも何度か取り上げてきましたが、
最近ではチームをまとめるリーダーにとっても大切なスキルと言われるようになってきました。
コンパッションには、
「相手にコンパッションを向ける」
「相手からのコンパッションを受け取る」
「自分にコンパッションを向ける」
以上3つの方向性があると言われていて「自分にコンパッションを向ける」ことを特に
「セルフ・コンパッション」と言います。セルフ・コンパッションが注目されることが多いですが、
3つの方向性を見てみると、リーダーにとってはそのどれもが大切なものであるように思われます。
チームと呼ぶと堅苦しいですが、相手に思いやりを持つこと、また、相手からの思いやりに気が付いて
それを大事に受け取ることなどは、夫婦関係、親子関係、友人関係などでもお互いのQOLを
高めるために大切な要素と言えるでしょう。
さて、そうは言っても「コンパッション」「慈悲」「思いやり」どの言葉をとってみても
なんとなくは分かるけれど、とらえどころがなく、「どうやったらおもいやりって示せるんだろう」と
悩んでしまうのではないでしょうか。
心理学の世界にコンパッションを取り入れたイギリスの心理学者ポール・ギルバート博士は
考え方を切り替えたり、これまでとは違った考え方をしたりすることを促すカウンセリングに
取り組んでいる時、バランスの取れた考え方を持てたはずのクライエントさんなのに
気持ちが全く変わっていないことに気が付きました。
実はバランスの取れた考え方を思い付きはしたものの、頭の中に響くその考えの“トーン”が
これまでのネガティブな考えの時のものと全く変わっていなかったのです。
トーンというのは不思議なものです。「大丈夫だよ」という言葉を一つとってみても
① 何度も何度も「大丈夫なの?」としつこく念を押されて怒って返す「大丈夫だよ!」
② まったく大丈夫じゃないけど後には引けないと思い詰めて絞り出す「大丈夫だよ」
③ 落ち込んでいる大切な人を慰めるために、心から伝える「大丈夫だよ」
頭の中で響くトーンは全然違うのではないでしょうか。
(『はぁっていうゲーム』と似ているかも知れませんね)
トーンだけでなく、表情も、声の大きさ、速さまだ違っているのではないかと思います。
コンパッションのワークをするときには、自分や、相手に言葉をかける時にも
トーン、表情、大きさや速さに注目して、思いやりを持ったトーンで話すように試していきます。
自分や相手にどんなふうに思いやりを示していいか分からない時には、
自分の言葉のトーンや表情に注目してみましょう。
そして、心から思いやりを持った自分だったら、どんなトーンで、どんな表情で話すかイメージしてみましょう。
Lear More平野啓一郎『本心』から考える「自分らしさ」~分人主義とカウンセリング~
『本心』の映画化が決定したそうです。
おそらく少し未来の話。主人公は20代後半の男性。ずっと2人で生きてきた唯一の肉親でありながら、
何も理由らしい理由を打ち明けないまま、いわゆる安楽死を選んだ母親。主人公は母親の本心を知ろうと
母の残した遺産を使って、生前の母親そっくりに振舞うことのできるAIを持った母親の姿そのままの
VRアバターを制作します。主人公の持っている生前の母親の情報を取り込んだAIが、さらに母親らしく
振舞うようになるためには「母親」と日常的に会話を重ねながら、「お母さんはそんなこと言わなかったよ」
というフレーズで、より母親らしい反応になるよう微調整を続けていきます。また、生前の母親と
親しかった人とも「会って話をしてもらえれば」より生前の母親に近づくのです。
物語はアバターとして”生き返った”『母親』を様々なきっかけとして、「母の本心は何だったのか」という
ミステリー的な要素と、唯一心から繋がっていると信じていた母親の無言の決断に対する主人公の葛藤
そして成長を通して進んでいきますが、背景として常に存在するのは、人間にとっての「自分らしさ」とは
一体何なのだろうという問いです。
作者の平野啓一郎は、以前から「分人主義」という心の捉え方のモデルを提唱しています。
「個人individual」と対比的に「分人dividual」と表現されるその考え方とは、「自分」というのは接する
他者・場所・時間の数だけ存在するのであって、場面や相手に寄らない一貫した、いわゆる「本当の自分」
などは存在せず、言うなれば場面と相手によって異なる自分それぞれ全てが「自分」なのだという考え方です。
要するに一本芯の通った「真の自分」なんていうものを持っている人はおらず、「自分」というのはもっと多面体、
多層構造ネットワーク的なものだよねということです。
この考え方はカウンセリングや心理療法の基本的な考えと同じです。
カウンセリングで言う「自分と向き合う」というのは、自分の心のどこかにある「本当の自分」を探して
見つけ出せということではありません。むしろ、迷い悩んだり苦しんだり、状況や人によってバラバラな
自分のあり様の一つひとつを否定しないで受け止めるという意味です。そうすることで、その時々で自分が
何を求めているかを捉えられるようになっていきます。
作者との対談で心理療法家の東畑開人(https://k-hirano.com/articles/hirano-tohata1)も言っていますが、
就職活動などでは「自分には何が向いているのか」「自分は何がしたいのか」などを問われ、途方に暮れる
学生が確かにいます。
しかしそのような問いは、そもそも自分の中に存在するものではなく、他者や環境と相互作用する中で、
後からまたはなんとなく立ち現れてくるような類のものかもしれません。けれどそのようにつかみどころの
無さが、まるで「自分が無い」ように感じられ、なおかつそれがとても良くないもののように思われると
答えの無い悩みの中に捉われてしまいます。
その意味で「分人」という考え方は、「自分の中で矛盾しても良い」という答えを提供し、その意味での
「そのままの自分」を受け入れる手助けをしてくれるかもしれません。
Lear More心理検査ってなに?
心理検査というとどんなイメージが浮かぶでしょうか?
絵の具のシミを見て答えたり、木の絵を描いてみたりといったものを漫画やドラマで
見たことがあるかもしれません。
小学生くらいの頃から夢中になるような「この質問にどう答えるかであなたの○○度が分かる!」
「この絵が何に見えるかであなたの深層心理が分かります」といったいわゆる心理テストは
とても面白いものですが「心理検査」ではありません。
心理検査も大ざっぱに言ってしまえば「自己理解を深める」「自分を知る」ための検査ではあります。
けれど実際の心理検査は、きちんと研究が重ねられて多くの研究者が関わって開発され(発展し)ていますので、
結果としては皆さんが想像されるよりももっと地に足のついた、自分でも(ある程度は)認識していて
納得のいく内容になることがほとんどです。
検査によって「知的な能力の凸凹を見る」「全般的な性格傾向を見る」「欲求不満な状況でどう対処しようと
するかの傾向を見る」など、様々なものがあります。
性格なのか、知的能力の凸凹なのか、あるいはメンタル不調の程度なのか、自分のどういった部分の理解を
深めたいかによって何種類かを組み合わせて実施します。
1つの検査の結果だけで目に見えな人の内面に言及するのは危険な場合もあるので、基本的には
2種類以上の検査を組み合わせます。
「思ってもみなかった驚くべき自分の本質が」みたいな結果には残念ながらあまりなりませんが
「認識はしているけどこんな検査で傾向が出るとは思わなかった。やっぱりそうなんだ。」と
おっしゃる方はわりと多くおられる印象です。
当オフィスではウェクスラー式知能検査のほかに、「自己理解のための検査セット」と
「神経発達症(発達障害)傾向を含めた検査セット」の2つのセットをご提案していますが、
その他のバッテリー(心理検査の組み合わせ)についても、
どのような側面の理解を深めたいかによってご相談に乗ります。
※基本的には医療機関受診中の方を対象としていますが、場合によっては実施できることもございますので、まずはお問い合わせください。
※「神経発達症(発達障害)傾向を含めた検査セット」は神経発達症(発達障害)の診断はできません。傾向や可能性を推測して医師の診断とその後の支援の参考となることを目的としています。
Lear More子どもの登校しぶり
「学校に行きたくない」と子どもから言われると、お母さん・お父さんは心配になってしまいますね。
子どもが「学校に行きたくない」と言う時には、色々な背景が考えられます。
学校に嫌なことがある、友達関係で疲れてしまう、勉強(授業)でわからないことが多い、
授業中じっとしていることが苦痛、授業の準備や移動教室などの学校生活の流れが負担など、
一人ひとり事情があります。
心理カウンセリングでは、その子どもにとって、どんなことが「学校に行きたくない」気持ちを
引き起こす原因になっているのか、様々な視点から考えていきます。
本格的な不登校にはなっていないけれど、その予防のために、今何ができるのかを考えることも出来ます。
お子様の心理カウンセリング、保護者相談を検討しておられる方は、お気軽にお申し込みください。
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